このマンガは表紙を見て、ギャグマンガも悪くはないかなぁと買ったものです。タイトルもそれらしいし、と。
一話目と二話目以降では登場人物の顔が違います。二話以降の方が安心してみられます。一話ではどこかで見たような顔なのですが、二話からは個性的な顔になっています。でも絵のことはよくわからないのでこれくらいにします。
ギャグマンガには珍しく時間は普通に流れます。最後にはモモねえちゃんは高校生になって終わっています。はじめは確かにギャグマンガなのです。笑いあり、たまには涙(?)あり、そしてボクちゃんがモモねえちゃんに一矢報いるシーンありなのです。
たとえば、「ひとの虫歯は痛くない!」では、虫歯になったボクちゃんを歯医者に連れて行くモモが、なんとか歯医者にボクちゃんの歯の治療をさせて、うちに帰ってきます、そして今日のおやつはせんべいだといっておやつを独り占め、じつはマシュマロだったとのオチ。
また、「ボクちゃん、殊勲賞!」では、野球をやっているところにきたモモが、無理矢理バッターになり三振してももう一度打たせろと無理を言います、ピッチャーを引き受けたボクちゃんが、みごと一球でモモをのばして仲間から胴上げされるのです。
ところが、モモが中学三年生になったところからマンガががらりと変わるのです。ところどころギャグは残っているものの恋愛マンガになるのです、それもほのぼの恋愛マンガに。可愛くんという同級生が登場して、モモの恋人になり、高校一年の夏休みでマンガは終わります。
もちろんギャグはちゃんと残っています。「ジョギングできたえよう!」「ふたりの写真撮って!」はギャグマンガです。でも、それは薬味のようなものでしかないように思えるのです。えっ、このふたつは連続して載ってるよ、というのは置いておいてください。
ギャグマンガで始まったのにシリアスマンガで終わるというのは珍しくないことです。たとえば、ここで例に挙げるとたたかれそうですが、『めぞん一刻』は始まりはどう見てもギャグマンガではないでしょうか。
なるほどこんなマンガもあるのか、悪くはないなあと思ったのですが、すえつぐなおとはこの一作で消えてしまいます。そんなに評判がよかったわけではなさそうでした。
でも、なにが幸いするかわからないものですねえ、ここで少女マンガ家として成功していたら、のちに流行語にまでなった『オバタリアン』にお目にかかることはなかったわけですから。
書名 『ゆるして!!ねえちゃん』
出版社 創美社
1980年11月30日第1刷発行
(参考)
オバタリアン 竹書房 昭和63年7月20日初版発行
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