2017年3月31日金曜日

沖倉利津子の『火曜日の条件』


 セッチシリーズの二冊目です。「火曜日の条件」と「金曜日の試合は!?」の二つが入っています。あとはシリーズ外の三作品です。
 では、雑誌掲載順に見ていきましょう。

 まず『金曜日の試合は!?』です。隣の大学生でセッチの家庭教師をしているおにいちゃんの鉄が、きれいな女の人と歩いています。その人は、おにいちゃんのいとこの恵子で、昔、小学一年生のセッチに野球を教えた六年生でした。その頃は男の子と見間違うような女の子だったのが、今はどうみてもお嬢様なのです。
 自分が18になった時にあんな風になれるかと考え込んでしまうセッチです。可愛い女の子になりたいと、野球の試合を断り、母親にはスカートを買ってとねだったりするのですが…。わたしから野球を取ったら何が残るのかと思い悩むセッチ。
 そんなある日、ジーンズ姿の恵子がセッチを尋ねてきて、キャッチボールをしようと言います。キャッチボールをしながらの恵子との会話で色々と考えるセッチです。そして、仲間との5月5日金曜日の試合の練習へと駆けつけるセッチなのです。

 この回のテーマは自分らしいとは何かにあります。女らしくしようと馴れない事をするセッチですが、それはことごとくうまくいきません。「セッチから野球とったらなにが残んだよ?」に一瞬顔色の変わるセッチ。色々と思い悩みながらも、結局、いつものようにやりたい事、野球をする事になるのです。セッチにとっての自分らしい事は野球だったのです。

 つぎに『火曜日の条件』では、一学期の期末試験の前から始まります。試験の二週間前から試験勉強をする者と、それを不思議そうに眺めるセッチから話が始まります。
 優等生の一人染屋からの質問に怒りなぐるセッチ。何故なぐられたか分からない染屋は、柴崎に勉強以外は何も知らないと言われます。
 セッチは「試験試験でサ(中略)自殺する子の気持ちわかるなあ…」と言っておにいちゃんに「あまったれんな!!」と本気の平手打ちを喰らいます。「やってもできない人間の気持ちなんてわかんないんだ!」と言うセッチに、「ほんとうにやったかどうかよーく考えてみろ!!」と言うおにいちゃん。
 二時間かかって数学の証明問題を解いて、お兄ちゃんに見てもらうセッチです。答えは間違っていましたが、「じぶん自身のためにセッチが“やる気”ってものを理解してくれてうれしい」と思う鉄です。
 何とか無事に試験も終わり、通信簿をもらい一学期も終了になります。セッチはそれなりに成績も上がったようです。

 劣等生の悩みと優等生染屋の無神経と云ったところでしょうか。染屋は柴崎に「セッチは(中略)野球やってればしあわせなんだ」と言われ、おまえは?と問われて答えに詰まります。
 海に行くのは全部で七人と鉄で車一台では収まらず、鉄の姉勝三(かつみ)に電話をするセッチ。海に行くのに柴崎は、染屋を誘っています。その火曜日は7月25日でしょう。
 このマンガの見所は、鉄にぶたれてから自分で問題を解こうとするセッチにあるのですが、この二ページは面白いものでした。


 書名『火曜日の条件』
 出版社 集英社 マーガレットコミックス MC 373
 1978年11月20日 第1刷発行  手元のものは1983年1月25日 第13刷です

2017年3月11日土曜日

地震から六年


 あの日から六年経ちます。仏教では七回忌と云うことになります。
 行方不明の方は2,550余名を数えるとのことです。

 外から見れば、復興もだいぶ進んでいると云うことなのでしょうが、当事者にはそう思えないとの思いが強いようです。「インフラは復旧したけれど、復興はまだまだ」と言っていた被災者もいます。また、福島県では原発事故で避難指示が出て、それが解除されこれから故郷に帰れるという人が、「ようやく復興に取りかかれる」とも言っています。
 でも、風評被害は解消されそうにありません。あの日から時間が進んでいないのでしょう。

 TVでは、漁港の復旧は二割強と言っています。復興ではなく、復旧です。
 でも、当事者以外からはもう復興してるのではなどと思われているのでしょう。

 先日、仙台市荒浜と名取市閖上に行ってみました。荒浜にはバスの来なくなったバス停があり、慰霊碑と観音像があります。閖上では、嵩上げ工事が続いています。それを見ていると、まだまだ復興半ばだなぁとの思いが湧いてきました。

 何だかとりとめのないことになってしまいました。お許しください。


 昨年の4月14日と16日には熊本大分地震がありました。日本列島に住む限りは地震からは逃れられないようです。