2012年7月31日火曜日

ふくやまけいこの『星の島のるるちゃん』

ふくやまけいこの絵は、どことなくほんわかとしていて見ていてほっとします。「ナノトリノ」は、冒険物のようでいて、少し違うし、「ひなぎく純真女学園」は、百合物と帯にはあるのに、いわゆる百合物ではないし。
 「東京物語」のころから見ると、力を入れて読む必要がなくなっています。

 初期の作品の「ゼリービーンズ」も面白いのですが、ここでは90年代半ばの表題作を取り上げてみます。
 このマンガは三回にわたって単行本になっています。そして、内容がひとつずつ増えているのです。

 舞台は2010年四月の地球・星の島からお話は始まります。
 るるちゃんは、星の形をした人工の島、星の島にパパとやってきます。パパはずーっと地球で海藻の研究をしています。ママはサテライトの通信係をしていて、宇宙に残っています。一年間るるちゃんをパパと暮らすためにと、地球に送り出したのです。

 星の島には学校がひとつしかなく、新学期から早速通うことになるのですが…。
 「びっくりだらけの新学期」でクラスメイトと仲良くなります。その中には、島一番の大金持ちの家の子タフィー、ロボットのエリ、転校生の新野郎太、宇宙人のメロウがいます。

 不思議な犬に出会って友だちになります。犬ではなくて、本当は宇宙人なのですが、るるちゃんにはどうでもいいことのようです。名前はフーポワとつけます。
 島の洞窟を探検して恐竜の子どもとも友だちになります。これが伏線で、このあと恐竜の母親が出てくるのですが、子どもから、るるちゃんは友だちだと言われて、島を壊すのをやめます。

 次のお話からパピルス(パピちゃんと呼ばれて、ムッとしています)という女の子が登場します。転校生で、歌い手で、スフィンクスというロボットを連れています。
 パピちゃんの登場から星の島を去るまでのお話が全体の半分を占めています。るるちゃんが主役のはずなのですが、パピちゃんに完全に食われているのは気のせいではないでしょう。

 以上で、講談社版は終わりになっています。

 大都社版では番外編として、「やってきたポメちゃん」が載っています。フーポワを追いかけてきた恋人(?)のポメちゃんが、お話の終わりで思わぬ活躍を見せます。
 ハヤカワコミック文庫版ではこのお話が17話になって、最終話として、「ふたりのエリちゃん」で完結しています。
 人間のエリが帰ってくることになり、ロボットのエリは…と云うお話です。
 最後の齣は人間のエリ、ロボットのエリとともに、の大団円です。


 以下のサイトには、『ゼリービーンズ』の「Sleeping Beauty」との対比が載っています。
 http://sukeru.seesaa.net/article/232053340.html


 書名 『星の島のるるちゃん』1巻, 2巻
 出版社 講談社 KCN778, 791
 1994年5月6日 第1刷発行, 1994年11月2日 第1刷発行
 2巻の終わりには "第3巻に続く" とありますが、3巻はありませんでした。

 書名 『星の島のるるちゃん』1巻, 2巻
 出版社 大都社
 2000年5月8日 初版発行(1, 2 巻とも)

 書名 『星の島のるるちゃん』1巻, 2巻
 出版社 早川書房 JA785, JA791
 2005年3月10日, 2005年4月10日 印刷
 2005年3月15日, 2005年4月15日 発行


 読み終えたあとで、ロボットと人間の関係は永遠のテーマなのだなあと知らされます。