2013年1月30日水曜日

青木光恵の『女の子が好き♥』


 この人の描くマンガは、ほとんどが少女マンガではありません。レディースコミックになるのでしょう。絵だけを見るとかわいい女の子が大勢登場します。その一方で「ぱそこんのみつえちゃん」をファミ通に連載していたりもします。

 どのマンガでも、登場する女の子は健康美というと古いイメージがありますが、風が吹けば飛んでしまいそうな女の子ではありません。

 最初の短篇集の『えっちもの』の出版は1995年5月です。初出を見ると、「OL天国」「結婚なんてラララ」「イケ!! イケ?  m&m」が、1992年で、「富樫さんとこの娘さん」が1993年から1995年、「オガタくんとその妻君」が1994年です。
 この本は、カヴァーの上に八割ぐらいの面積を占めるいわゆる腰巻が巻いてあります。

 さて『女の子が好き♥』ですが、1995年12月の出版です。「女の子が好き」が2/3ほどで、短編4つで残り1/3を占めています。「おわりに(自作解題)」が1ページで全部で139ページです。
 腰巻の惹句には「男のようにエッチな女」とあります。22歳のOL 森高由美の日常(?)4コマ漫画です。好きなものは、女の子、それも巨乳が好きという、オヤジがはいっています。普通のマンガだったら伏せ字になりそうな単語もそのまま出てきます。そんなマンガなのですが、いわゆるエロマンガのような卑猥さは不思議と感じられません。あっけらかんとしてるとでも云えばいいのでしょうか、お日さまの下での出来事のようです。

 このマンガは1992年末から1995年半ばに掛けて雑誌に掲載されたものですが、この頃と云えば、ちょうどバブルがはじけて失われた10年の始まる頃です。Wikipedia によれば失われた10年は1991年3月から始まるとのことですが、92年末までバブルの余韻はあったとのことです。また、ワンレン・ボディコンで思い起こされるジュリアナ東京は1991年5月15日から1994年8月31日とのことです。「富樫さんとこの娘さん」には、ボディコンという言葉が出てきています。

 このような社会的背景があるのですが、とりあえず面白ければいいという見方からすれば、今観ても面白いと思えます。


 書名『女の子が好き♥』
 出版社 ぶんか社
 1995年12月25日 初版第1刷発行

 『えっちもの』は、ぶんか社から1995年5月15日に出ています。