2020年11月19日木曜日

むんこの『だから美代子です』

 今回は、少し新しめの四齣マンガです。

結婚後数年で夫を亡くした未亡人が主人公ですが、これはギャグマンガです、多分。最初の「てんやわんや」の一番目の齣に夫の遺影があります。ページをめくると、義父母と暮らすことになる美代子さんが描かれていま す。第1話の最後の四齣「毎日みょー子」に隣の林田さんの奥さんが出てき ます。

第6話の「たけなわ」には、「夫の遺言 墓参りには一発芸」が出てきます。美代子は手品を披露しています。第8話では定食屋でアルバイトを始める美代子が描かれています。第10話の「語らい」はしんみりとします。第11話の「脱兎3」は、四齣目で、父母と美代子の三人が走って逃げ出すというもので、脱兎のごとく三人が逃げ出すのでこのタイトルかと思ったのですが、もうひとつ、ダットサンも懸けてあるのかなぁとも。

義母は驚くほどに多芸多才です。バレエもバレーも上手ですし、第19話では秋の虫の鳴き真似をしたり、第25話では町内カラオケ大会で三位になっています。第38話では感動巨編マンガさえ描いています。

三巻第35話で夫になる人の名字、浅井田が出てきます。第36話には夫と美代子の二人の思い出が語られてます。第45話七五三の話の中で美代子の歳が37で、三歳と七歳が女の子のお祝いだからと云われています。第49話で林田さんのところに赤ちゃんが生まれます。

四巻第52話には林田さんの赤ちゃん波平の様子が描かれています。第53話では夢の中のダーリンと一緒の美代子が描かれています。第61話ではダーリンが波平の前に現れて、波平といろいろなことをしています。第63話で保育園と思っていた場所が育児院と出てきます。第64話で終わりと思ったら、続きがあります。普通の四齣マンガなら「こんな毎日がずっと続いてほしいです」で終わりだと思うのですが、そうではありませんでした。

第65話は波平の眼から見た光景として描かれています。浅井田邸の取り壊しが始まったのを見ている17歳の波平から話が始まります。美代子は子供達の施設「子馬の家」で暮らしています。いつとはありませんが、美代子の義父が亡くなり、翌年には義母もなくなっています。その時に手筒花火を打ち上げる美代子です。そんなぶっ飛んだところが好きですという波平ですが、定食屋の夫婦から「ご両親が息子さんの所に行けるのを一緒に喜んであげたんでしょ」と言われます。同じようなことを両親からも言われ、波平の中で恋心から目標に変わっていく美代子です。

「そして波平です」と「百代」の間にどのくらいの時間が流れているのかわかりませんが、「花でいっぱいの柩の中みょー子さんはえがおだった」で第65話は終わります。

最終話は思い出なのかと読んでいて、「一足お先」で、あの世のお話と気づきました。

後書きで「幸せとは何ぞや?」と考えていました、とあります。

このマンガでは平凡な日常の続くことが幸せなのだろうなぁと。日常の中で幸せを見つけると云うか、日常そのものが幸せなのかなぁと。最終話を読んでその思いを強くしました。この世と同じ日々が続いているのですから。

嫁と舅、姑の三人で暮らしていて仲が良いとは、マンガとはいえ素晴らしいことです。これこそが幸せではと思わざるを得ません。

安心して読めるのは、このマンガには悪人が出てこないことがあるので しょう。

このマンガの舞台は花丸町です。作者の他のマンガのキャラクターも出ています。 

マンガのタイトルは「みょー子さん」と呼ばれて、「美代子です」と訂正する美代子から付けられています。途中からは一々訂正していませんが。最終話では一度訂正しています。

このマンガは第64話で終わっていても良かったはずですが、それでは私がこのような雑文を書く気にはならなかったでしょう。

第35話で浅井田と姓が出てきて浅田美代子から取ったのかなぁと。


書名『だから美代子です』 1巻~4巻

出版社 竹書房

1巻 2013年11月21日初版発行

2巻 2016年3月12日初版発行

3巻 2017年3月13日初版発行

4巻 2017年12月11日初版発行