2011年6月26日日曜日

寺島令子の『チルドレンプレイ』

 今まで四コママンガを取り上げていませんでした。ここで初めて触れてみたく思います。
 以前の(いつから前なのでしょうか、その辺はよくわからないのですが)四コママンガは必ず「起承転結」からなっていて、などと言われていたものですが、いつの頃からか、それがかなりユルくなってきたようです。

 『チルドレンプレイ』は、寺島のデビュー作です。手元にある決定版では、181ページ以降だと思われます。どなたか、ご存じのかたはお知らせくだされば幸いです。
 保育園を舞台にした、園児たちとそれに振りまわされる保母さんの四コマです。

 いかにもありそうな日常の一コマをマンガにしています。しかしその多くは、実際には起こりえないようなことです。だからこそ、そこに笑いが生まれるのでしょう。
 それにしても、こんなにたくさんの四コマを描けたものだと感心してしまいます。もっとたくさん描けるよと、作者なら言いそうですけれど。

 いま読み返してみて、子どもの足がずいぶん大きいのに気づきました。保母さんよりも足が太くて、大きいのでした。
 タドンおめめでも、ちゃんと表情は出せるのだなぁと思ったことを思い出しました。
 デビュー作とのことで、絵は決してうまくはありませんが、発想はすばらしいものがあると思い、これ以後の寺島作品はほとんど見ています。

 ところで、このマンガは講談社の「ヤングマガジン」に載っていたものなので、いわゆる「少女マンガ」ではないのかもしれませんね。

 この本には、巻末に4ページの別の作品が二つ載っています。


 書名『チルドレンプレイ』
 発行所 講談社 ヤンマガKCスペシャル 43
 昭和61年4月18日 第一刷発行

2011年6月10日金曜日

ちょっと休憩 地震から三か月 星新一の『感謝の日々』

 6月11日で地震から丸三か月になります。地震のときには、普段は何の意識もしなかったことやものが、こんなにもありがたかったのかと思いました。
 その代表が、水と電気でした。水の入ったペットボトルをぶら下げて、階段を登りながら思い出したのが、星新一の表題のショートショートでした。

 「ひとにぎりの未来」に載っている作品です。

 すべてが満たされた未来、人びとにそのありがたみを知ってもらうために設けられたのが「○○の日」です。「休電日」には、24時間電気が完全に止まります。「保険の日」には、何があっても保険金は支払われません。
 なにかを完全に止めることで、その止められたもののありがたみを知らしめるのです。

 電気はスイッチを入れれば、水は栓をひねれば使える、この当たり前のことがこれほどまでに大事なことだったとは。いつの間にか、空気のような存在になっていたものの価値を、改めて認識させられました。
 しかし、いつの間にか、そのような思いは薄れてきているのに気づいて、少し情けなく思っています。

 三か月が過ぎました。まだまだ余震への心配はありますが、とりあえず前を向いていこうと思っています。