2012年1月21日土曜日

ちょっと休憩 『リカの想い出 永遠の少女たちへ』

表題の本は、リカちゃん人形の発売20周年を記念して出版された、マンガとエッセイ集です。リカちゃんの発売が昭和42年(1967年)で、本の出版は1986年です。

 目次の代わりにプログラムが載っています。

 ご挨拶と祝辞ーーマンガ家二人(大島弓子とまつざきあけみ)とその他五人(谷山浩子、岡安由美子、群ようこ、美保純、伊藤比呂美)が書いています。
 記念撮影・アルバム・オブ・リカーー1967〜1970 1972〜1974 1977〜1986 リカちゃん人形の写真が載っています。
 談話室ーー第一部から第四部まであり、18名のマンガ家のマンガが載っています。
 もうひとつの同窓会ーー高橋源一郎、日比野克彦、秋山道男、野田秀樹の四人が書いています。
 インフォメーションーー牧美也子ほか二人が書いています。

 牧美也子はある意味ではリカの生みの親です。二ページのエッセイでそのことを書いています。
 挨拶と祝辞のマンガ家二人は、当然のことながらリカちゃん世代ではありません。岡安と美保はリカちゃんで遊んだと書いてあります。

 談話室のマンガ家は、何とか、人形(いろいろな人形があって、それはそれで面白いのですが)に話を持って行こうと苦心しています。実際にリカちゃんと遊んだ人もいるのですが、それはほんの少数です。
 木原敏江は「私の子供時代」のタイトルで二ページを描いていますが、人形は出てきません。坂田靖子は「わたしの博物学的子ども時代」で十ページ描いていて、これにも人形は出てきません。このマンガは印象に残っていて、いかにも彼女らしいと思います。
 子供のころは、うちのまわりは一面のたんぼで、から始まる子供のころの想い出です。川で釣りをしたり、木登りが好きだったり、と外でよく遊んでいたようです。外で遊んでいないときは、うちで本をよく読んでいたとか。幼稚園の時に父親からもらった理科図鑑を、今も持っていると描いてあって、感心したりもしました。最後の大きな齣は、「ときどきうちの前でそら一面の夕焼けを見ると 世界は なかなか広かったのであります」との言葉で終わっています。画面の八割が空で、残光と三日月とねぐらに帰る鳥、そしてたたずむ子供のころの作者が印象的です。

 本のタイトルが「リカの想い出」なのに、人形が全然出てこないマンガを載せたことにも驚きました。編集の香山リカと土肥睦子の度量の大きさに感謝です。

 リカちゃん人形で、リカちゃんハウスで遊ぶことを「ハウスしよう」と言っているのを聞いたときは、気に留めませんでしたが、play house の意味を考えれば、納得のいく言い方です。


 書名『リカの想い出』
 発行所 ネスコ
 発売元 文藝春秋
 1986年7月30日 第1刷

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