2015年8月21日金曜日

今日マチ子の『cocoon』


 今回は短くなります。読んでいていろんな想いが渦巻いてしまいました。

 目次の次のページに、「この物語は、実在するテーマを題材としたフィクションです」とあります。
 沖縄の女学生の学徒隊の物語です。主人公はサンという名前で、タイトルのとおりに繭の中でいつか羽化する日を……と願うのですが……。
 15ページの蚕の話が最後の話につながります。

 ここではお話のあらすじはほとんど書きません。あまりにも悲惨な内容なので。
 でも、現実はもっと悲惨だったろうと云うことは想像できます。

 66ページの「目が見えなくなったひなちゃんは幸せだ この現実を見ないですむのだから」には、どきっとさせられました。ひなちゃんは次の章で亡くなります。

 看護隊の解散命令を受けて、サンたちはガマから追い出されます。そこからは、もっと悲惨な目に遭うことになります。手榴弾で自決する級友たちと、それができずに逃げ出すサンとマユ。マユは銃撃を受け亡くなってしまいます。
 最終章では、「繭が壊れてわたしは羽化した」「羽があっても飛ぶことはできない」「だからーー生きていくことにした」のサンの思いで終わっています。

 目次と帯は旧字体で書かれています。


 ソ連軍が満州に攻め込んだときも同様ですが、軍は国民を護るために存在するのではありません。軍が護るのは国なのです。


 書名『cocoon』
 出版社 秋田書店
 平成22年8月20日 初版発行  手元のは平成25年8月25日 五版です。

 帯に戦後65年とあります。今年は戦後70年と云うことで、いろんな事がありました。

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