第一巻が1990年10月ですので、28年も続いているマンガです。現在も連載中なので「こんなマンガがあった」ではないのですが、四齣マンガで時代を反映しているということで、初期のものは過去にこんな事があったと云うことで、懐かしさを感じるのです。
Wikipedia に「OL進化論」の項目があり、そこにはかなり詳しく過去のことなどもあり、参考になります。1989年の終わりごろから連載が始まっています。
そこで初期のもので印象に残っているのをいくつか取り上げます。
まず、第二巻の最初16ページについてです。このころはまだバブル時代が残っていて、商店街のミス・コンテストで香港旅行ということもあったようです。
ジュンちゃんに誘われて、ミス・ハーバーライトに出て優勝して香港旅行のペアチケットを手に入れる美奈子です。みんなを誘って遊びに行こうというジュンちゃんに、鵜飼いの鵜を思い浮かべる美奈子。
同じ課の絵美とけいこも一緒に行くことになり、残される課長一人。田中君も休みを取ったのでしょうか。課長はブルーマウンテンを買って一人飲んでいます。
OL四人の香港でのお話は、行きの飛行機での話を含めて七ページほどです。その半分ほどは食堂と食べ物のお話なのはまぁわかります。15ページの「圧縮」にはくすりとします。旅行中ずっと便秘のジュンちゃんを見て、あれだけ食べたものがと不思議に思う美奈子。
二ページほどに渡って、社長と社長秘書令子のお話があります。社長の「香港だとひとっ飛びだ 国内出張と変わらんね」とのセリフがあります。
おみやげの中国服を課長に着せて、そこに部長が現れる場面には笑ってしまいます。
33ページの「効果」を見て、このころはまだ音姫が広く普及していなかったのかとわかります。1988年発売とありますので、広く普及する前だったのでしょう。
三巻の34ページには派遣社員が出てきます。派遣会社から来たコとなっています。
五巻87ページの「最近の若者って」には、昔を思い出して納得できます。中学生と高校生の区別が付かなくなって、歳だなぁと思わされる話です。
六巻の91ページからの16ページは面白く読めます。派遣会社からの派遣社員の話と課長の子ども達のアルバイトの話の二つが並行して進んでいます。子ども達の春休みの頃の話です。派遣社員の話も面白いのですが、アルバイトの話も面白いものです。中学生の娘はお金持ちの年齢不詳の女の人にアルバイトを持ちかけられます。女の人の不在の十日間ほど犬の散歩をすることになります。そのバイト代として十万円を出されます。「こんなにもらえませんお母さんにおこられちゃう」「そろそろ親に秘密を持ってもいいんじゃない?」と言われお金を受け取ります。高校生の兄は九時から五時まで倉庫での荷物運びのアルバイトをします。そして新学期、身長が伸びて大喜びする兄です。
今回は七巻まで目を通しました。始まった頃はバブルの終わりで、途中でそれがはじけてしまった頃のお話になってと、良くも悪くもあの頃を思い出してしまいます。
実はこのマンガを読み返して取り上げたのにはわけがあります。それはいわゆる「働き方改革法案」が国会に上程されたからなのです。派遣労働は初めの頃は特定の業種に限られていたのですが、改正に改正を重ねてほとんどすべての業種に適用されるようになりました。そして何時の頃からか、ハケンとカタカナ書きされるようになっていったのです。
高度プロフェッショナル制度の導入については、賃金と業種が限定されていますが、派遣労働のようにいつの間にかその縛りが無くなっていくのではないかとの不安がよぎるのです。杞憂ならばいいのですが。
書名『OL進化論』
出版社 講談社 ワイドKCモーニング
1991年 6 月22日第1刷発行 2巻
1991年12月16日第1刷発行 3巻
1993年 1 月23日第1刷発行 5巻
1993年 9 月23日第1刷発行 6巻